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しゃべるクラシックコンサート

久々に無料コンサートに行こうと思い立ちました。

よく私には「このテーマの記事を書いているときは、この音楽」というものがあります。

例えば、ウクライナと欧州拡大の問題を書いているときは、なぜかチャイコフスキーのバイオリン協奏曲と弦楽セレナーデ、そしてショパンの革命のエチュードです。なぜと言われてもそうなんです・・・。

なんだかピアノを聴きたくなっていたところ、ちょうどサンラザールの近くでピアノコンサートがあるというので行ってきました。この会場はよくお昼時に無料コンサートをやっていて、一度行ってみたいと思いつつまだだったので行きました。教会関係ですが、「あんなところに教会があるの?」というようなところです。

実際行ってみたところ、狭い入り口を入ってすぐの左の所に、小規模のホールがありました。

ここでEric Artzさんという男性がショパンとラフマニノフとリストの曲を、全部で9曲演奏しました。

始まる前に司会者が「話し好きなので、いろいろ解説します」と紹介していましたが、彼は各曲がはじまる前に、いろいろ解説をしてくれました。「この曲は左手の訓練になって」とか「この曲はショパンが××のときに」とか。

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選曲のなかに「革命のエチュード」があったので、私は大満足でした。
彼は、おばあさまがポーランド人だと言っていました。ほんと多いですよ、パリは。ポーランドからの移住者は、EUが拡大してからはロンドンが一番多いですが、伝統的にはパリが多いのです。ショパンもパリで生きましたし。

それにしても、この曲は、若い男性が弾くのがいいですね。エリックさんは20代後半から30代前半の間かな~という年齢に見えました。私は動画サイトで若いキーシンがひくのを始終聞いてますが、やっぱり叩きつけるくらいの勢いと力がないと。

私はそういうのがいいのだと、ニースのピアノマンに教えてもらいました。ニースのピアノマンというのは、ニースの路上でピアノをひいている人のことです。バイオリンとかアコーディオンはいるけど、ピアノというのは珍しい。もって歩けないので。ピアノの下に、ちゃんと台車みたいな車がついていました。

前に、「記憶喪失のピアノマン」というのが話題になったことがあります。金髪の青年です。行方不明で発見されたけど、ピアノがものすごく上手、一体だれ、、、という話です。ちょっとロマンチックですね。
そのとき、「ニースで見た」という情報があり、ニースに日本のテレビがやってきて、彼が「ボクじゃないよ」と、記憶喪失の写真の人とは似ても似つかない容姿で答えていました。(彼は黒髪だし)。たまたま日本にいるときで「あ、彼がテレビに出てる!」とびっくり笑ったものです。
彼は作曲家でもあり、自作の曲をCDで売っていました。
この方、私がパリに来たら、パリで2回外でピアノを弾いているのを見ました。「彼もパリに来たんだ」と。サンミッシェルとギャラリーラファイエットのところです。話しかけたら、私のことを覚えていました。日本人で、始終ニースで立ち止まって聞いていたからかな。一体、何十回聞いたか覚えてないくらい、見かけるといつも立ち止まって聞いてた(ちゃんとチップも入れました)。でも、ニースで話したのは、彼のCDを買ったときの1回だけだったんだけどね。彼はニース出身。覚えていてくれたのは、うれしかった。

携帯を探したら、写真が一枚ありました!残ってて嬉しい。顔が写ってないけど・・・。
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私が日本でピアノを聞いていたのは、コンサートにしろCDにしろ、お行儀のよい優等生のものばかり。あとは発表会で他の人の演奏(笑)。だから、ニースのピアノマンの「情熱と力に任せてピアノに思いをたたきつける」演奏は、ものすごく衝撃的で、印象的だった。こういうのっていい!と目覚めた感じでした。

Eric Artzさんは、そこまで叩きつけてなかったけど、もうちょっとお行儀がいいですが、やっぱり若い男性らしく、荒々しさがあった。エリックさんが解説していたように、これはショパンが、ワルシャワ蜂起の報を外国で聞いて、作曲したもの。当時、ショパンはなんと21歳です。天才だ。(ワルシャワ蜂起とは、ロシアの圧力に対抗して、ポーランド人が起こしたものです)。
やっぱり、あまりおじいさんが弾くのはどうかなあ。それはそれで味があるとは思うものの・・・。

(余談ですが、ポーランドって散々辛苦をなめているわりには、敵に対する国際的なネガティブキャンペーンは聞いたことがないですね。カトリックの信仰があついからかしら。ポーランド人って、控えめで芯が強い人が多い印象。だから愛されているのかな。)

なんだか話がそれましたが、演奏者の解説を聞きながら聞く、というのも、なかなか楽しいです。お客さんは40人~50人くらい。お年を召したカップルとか、女性同士が多かったです。司会者が「いつも見る顔の方も多いですが」と言っていたので、きっと教会に通っている仲間なんじゃないかと思います。
こころざしが5ユーロ(義務ではない。5ユーロじゃなくてもいい)、エリックさんが売っているCD10ユーロを1枚買いました。革命のエチュードが入っていたので。
彼が出てきたので、話しかけてみたくて、「サインください」と言ってみたところ、日本語で「日本人ですか」「ありがとう」「またね」と言われてしまいました。それを聞いていた小さな男の子が「またね、って何?」というので「ア・ビヤントという意味だよ」と教えてあげました。なんだかエリックさんは日本人になれている感じでした。学校とかにいっぱいいるのかしら。
(あとでHP見たら、名古屋と沖縄で演奏経験があるようです)。



同日の夜は、ヴァンセンヌのコンセルバトワール&図書館の所にあるホールで無料オーケストラコンサートがあるので、行ってみました。普通は1日2つは行かないのだけど。

こちらは、パリ10区とヴァンセンヌで定期的にコンサートを開いているLes Cles d'euphoniaという小オーケストラのコンサートでした。シベリウスとラベルでした。
行ってみようと思ったのは、、ピアノならともかく、この作曲家のコンサートを有料でいくことはないなと思ったからでした。聞いてみたいという好奇心はある。CDで聞くのと生じゃ全然違い、生で聞くと一気に好きになることはある、だから生で聞いたほうがいいのはわかっている。でも、やっぱり有料だと腰が重い。そんな私には、無料コンサートやちょこっと有料コンサートはすごく便利。
欧州に住んでいると、地方都市ならいいのかなという感じはする。オペラハウスが1つあり、常に結構よさめのオケが演奏しているようなところ。こういう所で育つと、地方都市は娯楽も少ないので、音楽好きなら「オペラで演奏会があったらいく」と、いつものカフェに通う常連さんのように、行きつけになれる。そうなると、関心は低めの音楽家のコンサートでも行きやすいのかもしれない。(パリはレベルが高いのはいいけど、あまりにも多すぎて、そういう感じにはならない)。

でもね、下手なオケ聞いても、感動はしないものなのよ。やっぱりある程度レベルが高くないと。
日本だと、なんというかオケのレベルがあまりにまちまちなので、どこならいいと言えない。フランスにいると、小さいオケでもレベルが総じて高いと感じる。

私はクラシックは詳しいわけじゃないのだけど、東京にいるときに、外国の有名オケはほぼ全部聞いたので、そこそこ耳は肥えているのよ、おほほ。日本でも、オペラじゃなくてオケだけだったら、一番安い席はそれほど高くないので。(当時3000円台だったと思う)。
日本だと外国オケが来ると、何日にもわたって演奏するけど、パリとかロンドンだと、1日とか2日、1回とか2回のコンサートのために、ほかの欧州の都市からオケがやってくるのよね。これは最初びっくりしたわ。「え、わざわざ来るのに、もっと5回くらいやんなくてもいいの?」と思ってしまった。欧州は近いから、「ちょっと行ってきます」という感覚なのでしょうね。パリにだけ来ているのか、他の都市もまわっているのか。後者かな? しかも、一番安い席は10ユーロ台だったりする。うーん。
これもアメリカから来るオケなら違うのかもしれない。

話がどんどんそれましたが、Les Cles d'euphoniaという小オケで驚いたのは、指揮者がLaetitia Trouveさんという女性だったこと。私、女性のオケの指揮者を聞くのは生まれて初めて。新鮮でした。

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このコンサートも、お話立てになっていました。ラベルのLa valseが始まるかと思ったら、美しき青きドナウの演奏が始まった。最初のところで演奏は終わり、ラヴェルとシュトラウスの出あいが語られた。この曲は、シュトラウスへのオマージュとして作曲されたのです。
こういう演出とか、音楽の特徴や説明――各楽器の旋律を、各奏者が弾いてみせる――などの解説がありました。解説を聞いてからきくと、確かに各楽器のかなでる特徴的な旋律が、耳にはっきり聞こえてきた。

ただ、彼女の話の仕方はあまり上手じゃなかったです。まじめな方なんだろうな、というお人柄がうかがえる話方でした。エリックさんのほうがネアカっぽくて上手だったな(笑)。小ホールと、中ホールという規模の違いもあるかもしれない。でも、彼らは音楽家であって、話すのが仕事じゃないので、それはいいです。

前に、友達の指揮者がオケを組織したことがありました。1回きりくらいだったら、賛同して時間があれば、さっとかけつけてくれる人はいるようです。演奏家は個人、という考えなんだな、と思いました。
このオケは、Laetitia Trouveさんが組織して集まっているオケなのだと思います。パリ10区やヴァンセンヌの公共ホールでは、定期的に演奏会をひらいているようです。あと、HPをみたら、カトリック系の私立中学のチャペルなどでもコンサートを開いているようです。寄付を何度も募っていました。
こういうオケの場合、参加音楽家は、他のオケにも参加しているのでしょうね。
音楽家が生きのびて、自分のやりたいことを貫いていこうとするのも、大変ですね。

でも、このコンサートでは、こころざしを募集していましたが、入れる人は少なかったです。やはり公共ホールとなると、市民は「行政が主催しているコンサートだから、ちゃんと謝礼は支払われているのだろう」と思うのでしょうね。もっと小規模なところだと、自分が何もこころざしを置いていかなかったら、タダ働きだと思うので、やっぱり5ユーロ、最低でも2ユーロはいれようと思うので。

でも、音楽と解説っていうのは面白いですね。右脳と左脳のコンビというか。
上記に出てきたヨハン・シュトラウスというのは、「なんでこんなつまらない、くだらないストーリーに、こんな素晴らしい音楽がつけられるんだ!」という人でした。文学を知覚する才能(?)はなかったのか、音楽の才能があまりにもありすぎて、ちゃちゃっと労せず素晴らしい傑作がつくれる人だったのか。
作曲家というのは、こういう人がよくいますね。
音楽家は違うのかな。演奏者と指揮者でも違いそうですね。

ピアニストと指揮者の「しゃべり」を聞いたこの日は、しきりに日本で読んだ「オーケストラ楽器別人間学」というN響のオーボエ奏者の方が書いた本が思い出されました。(ちなみに私は、チャートで「トランペット」でした)。

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