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ルーブル美術館通い13

13でいいんでしたっけ。

チュニジアで、国を代表するバルドー博物館が無差別攻撃された翌日にルーブルに行くっていうのも、、、なんか妙に緊張するものでした。

観光客は減っている感じがするけど、でもやっぱり大勢の人がルーブルに入るのに列をつくっていました。「ここにテロリストが来たら、もうダメかも。あそこの見えにくい角にまずは隠れて・・・」とか思ってしまった。もっと武装した警備員がいるかと思ったけど、少なくとも並んでいる30分くらいの間は一人もみなかった。私服はいるのかもしれないけど。

今も横のテレビでは、21時から始まったテロリストの特集番組をやっています。うわ、シャルリ・エブドの女性ジャーナリストが顔を出してしゃべっている。勇気ありすぎ。筋金入り。どういう信念なんだろう、と素朴に知りたく思う。

話を本題に戻しますと。

今日は、古代オリエントのコーナーを見ました。今までも通りすがったときに何部屋か見た所もあるのだけど、今日はじっくり集中してみました。
古代オリエント、メソポタミア文明というのは、まさに今、戦争が起きているイラクやシリア、「イスラム国」が領土としているところ。「四大文明」って習うけど、メソポタミアが一番古い。

40.jpg
上のオブジェなんか「紀元前40世紀から30世紀」って・・・。10世紀分、はっきりしないわけね。すごいなあ。
メソポタミア文明のものっていうのは、とっても不思議なのよ。
なんだか像が仏像っぽいものがたまにあったり、石の彫刻に文字が書かれている感じも、なんとなく仏教っぽい。そうかと思うと、神話の女神の表現やハープ奏者などが、なんだか古代ギリシャっぽい。エジプトっぽいものも。ライオンの像は中国っぽい。

同じような古さを誇っても、こういうのはエジプト文明ではあまり感じない。エジプト文明とメソポタミア文明は、横姿で並んだ人の壁画みたいのが似ているとか、共通点はみつかる。でも、エジプト文明っていうのは、独自に一つにまとまっている世界という感じがする。対して、メソポタミア文明は、たくさんの文明のルーツを見るような思いがする。

いや、大元があって、広がりながら発展していくっていうのは、知らず知らずのうちにダーウインの進化論(?)に毒されているのかも。中には、偶然に違う場所で同時的に発生したものもあるでしょうし、逆で、地中海や中国の文化がメソポタミアに影響を与えたのかもしれない。各文化には個性があるにしても、交易があるのなら影響しあうから、どっちがどっちとはっきり区別することそのものが難しいのかもしれない。

それぞれのオブジェについて年代で考えると、バビロニアのライオンのおきものは紀元前20世紀くらいだから、一応一番古い中国の王朝と言われる殷(紀元前16世紀以降)よりも古いかな。

これです。
lion.jpg

最近では、殷よりもっと古い夏という王朝があったらしいとなっているが、「ライオンの置物」という点ではどうなのかしら。あと両者を結ぶルートはあったのか、とか。調べ出すとキリがなさそうな感じ。それこそお互い交流がなくても、似たようなものが創られたのかもしれないし。でも似てる〜(・・・と私は思った)。
こんな感じで一つひとつ研究していったら、一生かかりそう。学者の方々、がんばって。研究結果を読ませてね。

前述した「エジプトは完結している感じ」というのは、地理と関係あるのでしょうね。エジプトの南は、ヌビア人と呼ばれた黒人(現在のスーダン)はいたみたいだけど、南や西方面は基本的に文明はなかったみたい(というか砂漠だし)。文化の流入口は、シナイ半島(パレスチナ方面)しかなかったように見える。その点、メソポタミアは文明の通路に見える。

ところで、古代オリエントには入るけど、メソポタミアには入らないのがイランです。ペルシャ文明と言ってもいいけど、時代的にはペルシャより前のものの展示です。ここになると、インドっぽいオブジェがあるのよね。バラモン教っぽいというか。イランというのは山なんですよね(平地もあるけど)。メソポタミアが「肥沃な三ヶ月地帯」なら、山から向こうがイラン、となります。地理的関係からすれば、イランの方がインドに近いのだから、インドっぽい要素がみつかるのは当然かも。
(メソポタミア ー イラン ー アフガニスタン・パキスタン ー インド )

でも、イランを飛び越えて、メソポタミアに仏教っぽい感じがするものがあるのは、どうして? まあただの印象をベースに考えているだけだし、ルーブルにあるものがすべてでもない。でも気になる。イランにも仏教っぽさはあるのかしら。
インドっぽさと仏教っぽさはどう違うのか、仏教はインドでうまれたんでしょ? と突っ込まれると、これもまたうまく言葉にできない。

うーん、ほんとメソポタミアって面白いわ。もし私が考古学をやらなければいけないのなら、メソポタミアをやるわ。「文明の交差点」という言葉がぴったり。すばらしいと思う。

ただ、オブジェとしては、エジプトのほうが美しいので、研究者はそういう意味では楽しいかも。メソポタミアのオブジェは、破片とか、首がなくなっちゃった像とかが多いし、色もとれている。運んで来た巨大遺跡以外は、ぱっと見はそれほど面白くない。逆に言うなら、そんな紀元前の古いものなのに、色や形が残って保存されているエジプトのほうが奇跡なのだと思う。やっぱり乾燥していて砂漠という気候のせいなのかもしれない。あと、前述したように、地理的にはわりと孤立しているせいもあるのかも。メソポタミアなんて、いまだってイスラム国が跋扈しているように、人々が始終やってきて何かしている所のようなので。

まったく、イスラム国は、素晴らしいメソポタミアの遺跡や遺物を壊しやがって(あ、言葉が汚くなってすみません。つい)。あれは本当に頭に来た。今まで千年以上も、現地のイスラム教徒は、自分たちの祖先のものを大切に保存してきたのに。イスラム国じゃないけどバーミヤンの仏教遺跡もそう。絶対許さん。人間を殺すのも蛮行だけど、「散々アメリカや連合国の空爆で、罪のない人々が殺された仕返しだ!」と言われると、イスラム国だけがものすごく野蛮とは言えないのではないか、という気になることもあった(ただし殺害の方法はすさまじいけど・・・)。でも、遺跡は許さん! 人間、文化、文明、祖先、歴史、すべてのものに対する尊敬がない! 野蛮人!と言ってしまおう。

メソポタミア文明が素晴らしくて感動すればするほど、怒りがフツフツと。。。

今日はこのへんで。 

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