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ルーブル美術館通い 15 サモトラケのニケ

今日は復活祭です。
いいお天気!

ルーブルもあと少しで全部見終わります。
すっかり詳しくなりました。もはや、まったく迷子になりません。
身障者のためにある1階移動のみのエレベーターと、実に便利なエレベーターの区別もつきます。
トイレの場所もわかります。中は本当にトイレが少ないけどね・・・。

もっとも、今頃最初に見たところでは、作品の展示が一部入れ替わっているのでしょうね。
しばらく行かなかった所に、新しいショップができているし。
絶対に全作品を見るなんて、ムリ。

今回は、サモトラケのニケです。
台座の船の部分が大幅に修復され、像も汚れをとってきれいになりました。
この像は本当にカッコいい。

nike1.jpg

正面右ななめが、絶好の角度です!
最初見た時は、「へえ」くらいだったのだけど、何度も前を通って、見れば見るほど、「カッコいい!」と思うようになった。修復されて、船の部分が少し高くなったことや、きれいになったというのもあると思う。前は薄汚れていたので。

フランス絵画を見ていたら、こんなのに出会いました。
光っちゃいましたけど。

louis.JPG

これは、フィリップ・ドゥ・シャンパーニュという画家が1635年に描いた「ルイ13世とラ・ヴィクトワール」という絵です。ヴィクトワールとは「勝利」という意味です。
見にくいですが、勝利の女神が、ルイ13世に、月桂樹の王冠をかぶせようとしているのです。月桂樹の王冠とは、ローマ時代の王の象徴です。

それでこの女性です。フランスの象徴・マリアンヌも思い出させますが、やっぱり「ニケ」でしょう!

調べている途中でわかったのですが、「サモトラケのニケ」は、フランス語で「La Victoire de Samothrace」というのです。まさにそのまま。「ラ・ヴィクトワール」。

それと、翼があるのは、勝利のニュースを知らせてまわるためだそうです。メッセンジャーですね。キリスト教の大天使ガブリエルは、明らかにニケのイメージがありますね。男になっちゃったけど。

それと、パソコンに打ち込んで気づいたのですが、「ニケ」って「NIke」。スポーツメーカーのナイキと同じじゃない・・・と思ったら、やっぱりそうなんですって。あのマークは、サモトラケのニケの翼をイメージしたものだそうです。
この像の所を通るたびに、いつもたくさんの観光客が写真をとって眺めている。ああいう人々の中に、昔、ナイキの創設者がいたんですね。そんな成功者も、かつてこのルーブルの中で、ここに立って、あの像を眺めていた。

さて、ニケが修復されたので、像の後ろの部屋で小さいニケ展が開かれています。そこに、ニケがサモトラケ島でどのように展示されたいたかを示す3Gビデオがありました。船の上に建てられて航海していたんじゃないのね(汗)。島の神殿に設置されていたそうなのですが。その様子が、これ。

nikearms.JPG

ビデオを撮ったので、後ろが流れているけど。
ちょっとこれ、かなりがっくりじゃない?
こんなんだったの?
やだわ、こんなニケ。
同じくルーブルにある、ミロのビーナスのことを思い出した。
あの像は、像としては大したことないという評価がある。
それは何だかわかる。「なぜあの像にみんな大騒ぎしているんだろ」「そんなにいいか?」と他の像を山ほど見たあとに思う。
ミロが人をひきつけるのは、腕がないからだと言われている。
腕が欠けていることが、人々のインスピレーションを刺激してやまないのだ、と。
それと、今あるギリシャの像は、ほとんどがローマ時代につくられた(復刻された?)ものだからだそうで、そのためもあるのだろう。ギリシャ時代に本当に創られた像というだけで貴重なのだ。(ギリシャではどうだか知らないけど)。


ニケも同じなのだろうか。
腕があったら幻滅なのだろうか。
でも、ニケはミロと違って、腕がなくても素晴らしい彫像だと思うなあ。

なんでも、サモトラキ島の神殿は「偉大な神々への崇拝や、秘教的な祭式をとり行う場所として作られた複数の建物が集まる古代の名所」だったんだそう。ニケはかなりつなぎ合わされて、修復されているけど、それでもあれほど良い状態で残っているので、屋根があったのだろうと言われている。
(ニケの右腕の一部はルーブルにあるそうだ。公開されていないけど)。

なぜビデオのような腕の形になったかは、もう一つルーブルにある小さいニケ像にならったのかもしれない。↓ これ。
petitnike.jpg

左腕が違いますね。
他にも色々な想像図がある。コインに残っているニケ像なんていうのもある。右手は笛をもっていて吹いているという図もあれば、右手には勝利の月桂樹の冠をもっているのもある。どのみち、右手は上げているということになっているみたい。




ところで、この前ナシオン駅の近くに住んでいる友達の家を尋ねたのですが、「仕事が遅れて用意がまにあわない!ちょっと遅れて来て」というので、ナシオンで時間をつぶすことに。ナシオンの真ん中には、革命を記念したマリアンヌの像が建っています。私は、パリの街の中にある像のなかで、これが一番好き(全部知っているわけじゃないけどね・・・)。
正面から見ると、こういうもの。

nation1.JPG

実際は、像のまわりを車がロータリー式で走っているので、もっと遠目になります。
渡って近づいて見てみようと思って、横断歩道を探して渡りました。
その横断歩道はちょうど、正面右にあったのですが・・・。

 ↓こんな感じ。
nation2.JPG

ううっ! これはニケだ!!!
足を踏み出している、ドレープがまとわりついている、あの感じ。
今まで何度も何度も見てきたのに、なぜ気づかなかったのだろう。

見ていたら、犬を2匹散歩させているおじさん(おじいさん?)が、「像の説明を聞きたい人!」と叫んだ。私の他に、黒人の男性が二人ほど、説明に聞き入った。像の説明も面白かったけど、ナシオンの説明も面白かった。教えてもらった歴史的場所には今度行ってみよう。
「この像はニケに似てますね」というと「そうか?」「足の感じとか」「まあそうだな」みたいな反応でした。
ちなみにフランス語の発音「サモトラス」じゃなくて「サモトラケ」のニケと言ったら最初は通じませんでした。「ルーブルにある有名なギリシャの像」といったら「ああ!サモトラスのニケね!」と通じました。

この像の周りには、あちこちに「私はシャルリ」と書いてありました。
見えるかな。
nation3.JPG

でも逆に「シャルリ・エブドは、讃歌(国歌)ではない」と書かれたものも。
nation4.JPG

すごーーーく前に、兼高かおるさんにインタビューしたことがあります。私が「どこに行っても、テレビで見たという感じがしてしまう」と言ったら、「近づいて見てご覧なさい」とおっしゃった。そのことを思い出しました。何でも近づいて見る。すごく大事な事だなと思いました。


さて、ルーブルに戻りますが、見回っているスタッフの男性が、壁にかかっている時計を見ました。気にもとめなかったのですが、そこに時計があったのです。動いていました。展示品じゃないらしい。
tokei.JPG

携帯の時計を見ながら、その男性に「これ合っているのですか」というと「15分遅れている」という。「これ見ていると、15分余計に働かなくちゃいけなくなりますね」というと、「大丈夫、朝15分遅れて来るから」と言いました。冗談じゃなかったりして(笑)。「フランスっていうか、ラテンっぽいですね〜」と笑いながら答えました。


帰りに、ルーブルを出たところの地下鉄で、男の人がアコーディオンを弾きながら歌っていました。
russeL.JPG

この場所は、よく音楽家の人が演奏しているところ。歌とアコーディオン、両方やっているのは珍しい。声はプロっぽくはないけど、かなり良い。哀感がある、すごく素敵な曲でした。フランスっぽくないメロディ。毎日のようにどこかで辻音楽家は会うけど、この人の歌はかなり印象的でした。チップを入れて、演奏が終わった時に拍手。話しかけてみたら、ロシア人でした。ウクライナの近くのヴォルゴグラードの近くから来たんだそうです(私はやっぱり、音楽はロシアとイタリアが好きだわ)。大昔の記憶をたどってロシア語で話してみたら、通じました! でも私がロシア語ができると思ったのか、ロシア語で話されてしまい、全然ダメでした。。。もっと学生時代勉強していれば・・・(がっくり)。でも「スパシーバ」は覚えていた。スパシーバって言いに戻ったら、喜んでくれた。

どんな人生を背負った人なんだろう。
ウクライナで起きている内戦と関係があるのだろうか。

自由と平等を求めて革命を起こしたマリアンヌの国には、たくさんの人が集まって来る。
この国には、人をひきつけてやまない、歴史と文明と思想がある。

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