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パリとニースの政治風土の違い

ちょっと忙しくなって、ご無沙汰してしまいました。
実は私は、他に欧州のニュースに関するブログを書いておりまして、ウクライナ・クリミア問題がおきてから、そっちがすごかったのです。
はじめたばかりのときは、1日のアクセス数は1ケタ、それが2ケタになって「わーい」と喜んでいたら、今回の問題が起きたらいきなり毎日4ケタ・・・。もうどうしようかと思いました。
あまりにもびっくりして、ブログ閉じようかと思ったほどです。
でも毎日すごいニュースが飛び込んできたので、必死に書いてました。
一時は本当に戦争になるかもしれないと思ってました。
私が住んでいる、この陸の向こうで、戦争?!
私は歴史が好きで、高校生のころからよく歴史の本を読んでいました。
ヨーロッパの歴史が多かったですね。
でも、そんな歴史で起こったことが、自分の住んでいるこの欧州大陸の向こうで起きるの?
車があれば行けるところで?

私がこういうことを強く感じるのは、やっぱり、パリの空気っていうのはあると思うんです。
基本が左。
ニースとまったく違います。
ニースは右の牙城です。フランスで、右の代表的都市といえば、ニース。
右と言っても、中道右派、でももうちょっと右より、という感じですかね。
南仏は全体的に右が強いです。特に地中海地方は。
大勢いるアフリカ大陸からやってくる移民にうんざりしているのです。
しかも、パリに住んで思うけど、移民は南仏のほうが活き活き(?)しています。
気候が出身地と似ているから、のびのびしているのかも。
活き活きとして、犯罪もかなりやりたい放題な印象。
しかも、街が小さいから、ごっちゃまぜ。
パリは、カルチェによって、比較的層が分かれていますので。

ただし、ニースの人は、世界中から観光客がやってくる国際性もあって、今みたいな平時に極右に走ることはないと思うんです。そこはマルセイユと違いますね。
今回の地方選挙の第一回の結果を見てもわかるように、マルセイユはひとつ間違うと極右に走る可能性がある。
あんなに移民がいるのだから、フランス人になった移民が投票に行けばそういうことは起きないのでしょうが、彼らは「投票」「選挙」という意識が薄いのです。
もっとも、マルセイユにはちゃんと左翼もいますけどね。一応それで、均衡を保っている部分はあります。でもだからこそ、「一つ間違えると」極右にふれる可能性もある。危うい感じがします。

ニースの場合、そういう危うさはないと思う。ニースは圧倒的に左は弱く、パリからみると皆無と言いたくなるほどです。観光業が主なので、たとえ極右の得票がのびても、実際に市長になることはないでしょう。前の市長は「隠れ極右」といううわさもありましたが、「隠れる」分別があったというべきでしょう。だから、ある意味でマルセイユよりは安心感があるような感じがします。だから政治家が安心して肩入れしやすい、ニースを「右の代表」にしやすいというのはあるかもしれません。マルセイユを「右の代表」として取り上げたら、議論爆発で内戦(?!)状態になるかもしれないし。大げさかな。

パリとニースは全然雰囲気が違います。
パリはですね、明日の2度目の地方選挙で、もしかしたら中道右派の市長が誕生するかもしれない。
でも中道右派と一口にいっても、ニースみたいなかなり右の中道右派と、かなり左の中道右派がありまして。
パリは「かなり左の中道右派」ですね。
基本のエスプリが左なんです。

共産主義っていうのは、パリで生まれたといっても過言ではありません。
共産主義の初めての政権は、パリで生まれました。
パリ・コミューンというもので、1871年で、あっというまにつぶれましたが。
そういうエスプリが、脈々と流れているのだなあと、感じます。

共産主義は、政治的・経済的には大失敗という結論になりましたが、思想的には「全員が平等」というのは、社会主義という形で欧州大陸にしっかりと根ざして、消えることは決してないと思います。

あるいは、フランスなんて、日本と同じで共産党は完全に斜陽ですが、ちゃんと共産党に替わる政党「左翼党」(parti de gauche)がうまれてますものね。ジャン=リュック・メランションという人が党首なのですが。

 ↓ この人です。
mele1.jpg

実は、私は彼のミーハーファンなんです。
深い思想とか主義とか、いいっこなしでお願いします。
(私に投票権があっても、左翼党にはいれないかも)
彼がまとう雰囲気で、ミーハーファンなの。
かっこいい~!
あの人見ていると、「ああ、フランス革命っていうのは、こういう男たちがやったんだな」って感じるんです。
特に、彼が話しているとき。
すごくひきつけられます。
がなっているフランス人政治家は大勢いるけど、彼は話すのがうまいのだと思います。
演説も話も、内容だけじゃないので。
話し方、身振り、表情、相手がいる場合は発話のタイミングや会話のキャッチボールの仕方。
複数の人が話していても、目が彼に言ってしまうのです。カリスマ性があると思います。

あと、党の表現もうまいですね。
これ ↓ は、前回の大統領選のポスターなのですが。

mele2.jpg

「バスティーユを取り戻そう!」と書かれています。
シルエットは、バスティーユ広場にある塔ですね。
うーん、、、うまい。
左翼はフランス革命に結びついている。
だからフランスでは、決して左翼が消えることはないのでしょう。
そういう雰囲気が、パリにはある。
つぶれそうな日刊紙リベラシオンも、パリでは健在。
ちょっとブルジョワっぽさがあるけど、カナル・アンシェネという週刊風刺新聞も、パリでは健在。
批判精神が旺盛な街なんです。
そこがパリの一番いいところかな。
ウクライナのフェミンも、パリを本部にしたようですし。
自由な表現を求める人が、欧州中からやってくるのです。

ところで、メランションですが、一切プライバシーが出てこないところもまた魅力的。
でも、独身なのは確かで、表にパートナーとして出てくる女性がいないのも確か。
この前、彼に子どもが生まれるらしいといううわさがあって、「ということは、パートナーがいるの?」「やだああああ」「ショック!」という、女性たちがネットで騒いでいました・・・(笑)。
(フランスでは、今は結婚しないで生まれる子どもが半数を超えています)。

もう1枚、載せちゃえ。

mele3.jpg

きゃあ、絵になってるう!

・・・アホをさらしてすみません。


。。。。。。。。何の話をしていたんだっけ。
そうそう、ウクライナの戦争の話でした。
「この大陸のかなたで、戦争が起こるのか?!」という意識の話でした。
それは、大陸で実際に地続きというだけじゃない。
パリの、自由を求める人がヨーロッパ中から集まってくる雰囲気。
フランス革命の精神が脈々と流れる、パリの左翼の精神。
これらが、「この大陸のかなたで、同じ人間が殺しあうのか」という気持ちをうませるのだと思う。

そういう意味で、やっぱりパリはすばらしい街なのだと思います。

ニースからパリに引っ越して、ずっとウツ病気味だったけど、やっとパリに慣れたのだなと思います。


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