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ルーブル美術館通い11

最近、さぼり気味になっていたルーブル美術館通いです。

だって、見ても見ても終わらないんだもの。

前はピラミッドと宮殿も、「ああ、いつ見ても、違う顔があるなあ。天候によっても違うし、時間によっても違うし。いつ見ても美しいわ」と思っていたんだけど、見るのもイヤになってきた。イヤというか、前を通ることがあっても別に何も感じないというか。

しかも、春でどんどんお天気がよくなってきて、美術館にこもるという感じじゃなくなってきたせいもある。

でも、しばらくお休みしたら、リフレッシュしました。

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今週末は復活祭のお休みなせいもあって、すごい観光客の量です。
天候からいうと、観光には一番いいシーズンです。

今日は、ローマ・エトルリアのコーナーを見ました。
サモトラのニケ(今は工事中でありません)の前の階段をのぼらずに、右に曲がるところです。でも後でわかったのですが、これだと逆流でした。

ローマ時代のたくさんの王族の彫刻がありました。「誰だかわからない人」も多かったです。
出土は、ローマから属州まで、いろいろです。

今日、一番はっとしたのは、これ。

rome1.jpg

怒ってる。こんなローマの彫像、初めてみた。
解説を見てみると、カラカラ帝。
「父セプティミウス・セウェルスの死後、弟のゲタを殺させ、一人で統治する。そのためにこのタイプのポートレートが創られた。初めて、公式ポートレートとして感情をあらわにしているようである。攻撃性、怒り。眉のうえのシワ。口角があがっている表現である」とある。
あと、説明書には、正面じゃなくて首をまげているのも珍しい表現なんですって。

父親は、貴族ではあったけど、前の皇帝を廃して帝位についた。「えっ、軍事クーデター?」と思ってしまうが、ローマは正確にいうと、「元首政」なのだそうだ。もともと共和制の国で、議会や元老院が強い。専制君主が嫌いな風土がある。実際は世襲になっていたが、本質が違うそうだ。ナポレオンみたいな感じかな。
でも、強い性格と強い武力で皇帝になったので、大変だったのでしょうね。しかもアホなことに、帝位継承者をはっきり決めなかった。兄弟の両方に権利を与えたそうだ。バカだなあ~。争うに決まっているじゃない。
そのせいで、兄カラカラが、弟を殺すはめになってしまうのだ。

弟ゲタの彫像。
geta.jpg

でもカラカラは、なんだかおじさんみたいだけど、29歳で暗殺されて死んでしまった。弟のゲタは22歳で、兄に殺された。
若いと、血気盛んだものね。。。なんで父親は、ちゃんと後継者を指名しなかったのだろうか。
兄が軍事、弟が行政、妻(母)がアドバイス役という「仲良し家族」を目指したらしい。

怒りの表情をもう1枚。
roma2.jpg

212年の製作とありますので、24歳です。なんだか44歳とか54歳みたいですが・・・。

でも、子ども時代は可愛かった。以下は、子ども時代の彫像です。学問的には、jこの彫像のスタイルはいろいろいわれがあるようです。
roma3.jpg

家族が一堂に会しています。真ん中はお父さん、右がお母さんです。
roma4.jpg

悲劇の一家・・・。お母さんどう思ったのだろう。長男が次男を殺すなんて・・・。
でも、そんな想像とは全然違う女性だったみたいです。
次男が殺された後、いつも長男カラカラ帝と一緒に統治していた。遠征にも一緒にでかけた。長男が暗殺されると、帝位がマクリヌスにいったのが不満で、近衛隊の蜂起をこころみたけど、失敗。ガンでなくなったか、英語版によると自殺、フランス語版によると抗議の餓死かで、死んだそうです。
恐すぎ。このお母さん、夫には頭のよさから信頼を受けていたらしいけど、権力欲がありすぎたのでは・・・。夫が既に初めてで唯一の属州(今のリビア)生まれの皇帝だったけど、それでも彼は元老院の議員、つまり貴族のようなものだった。対して妻は、お金持ちではあったらしいが、平民の出身ということだし、シリアの出身だし、女傑の成り上がりみたいな感じの女性だったのかも。ロシアのエカテリーナ1世も思い出す。
おっそろしい。息子はもしかして強度のマザコン? そういえば去年あたりにフランスでやった「私の息子に相手を探しています」という番組で、母と息子の家庭の人が、息子のパートナーを探すという番組があった。フランスは母子家庭が多いのよ。
登場した息子たちは若いんだけど、唯一30代後半くらいだったかな、ちょっと年かさの息子がいた。でもハンサムでおしゃれ。だから選ばれたのね、という感じの人。この母と息子が、もろイタリア系か、イタリア人(フランスで暮らし、フランス語はうまい)。で、ママがいつも息子の世話をしている。べったり。後になって、この男は実は、×1で子どももあり、しかも離婚の理由がDVの疑いありということで、3面スキャンダルになった。これは番組の条件とは異なっていて、ウソをついていたということだったようだ。こういう番組は普通、次回があるのだが、これは1回きりで終わってしまった。なんか思い出しちゃた。母と息子がべったりで、イタリアの母が強くて恐ろしくなりうるのは、「ローマ2000年の伝統」なのか? 
そういえばさあ、ルキノ・ビスコンティの映画で「地獄におちた勇者ども」というのがある。原題は「呪われた人々」だけど。設定はナチス時代のドイツ人だけど、母と息子が近親相姦するシーンが出てくる。ただこの映画の場合は、お母さんは悲しんで恋人と自殺する(他殺にも見えないこともない)。あれ、ドイツ3部作の一つだけど、内容はもろイタリアだったのかも。


ところで、この一家の前に、「若いゴロワ」の彫像があります。
ゴロワというのは、フランス(人)の古い呼び方です。フランス人の祖先とされています(いました)。シーザー(カエサル)が書いた「ガリア戦記」のガリアは、フランス語読みするとゴロワです。ゴロワーズというフランス産のタバコもありますよね。

gaulois.jpg

200-250年くらいの間にできた彫像で、この豊かな髪の毛は、マルクス・アルレリウスのコピーなんだそうです。ランスで発見された像です。

なんで一家の正面にあったのだろう。つくられた時代は重なっているようだけど。

家に帰って調べてみると、不思議なことに、フランス語のWIKIには、「カラカラ帝は、ゴロワとカルタゴとシリアの起源」と書かれている。えっ、ゴロワ(今風に言うとフランス人)の血が入っている? でも英語版には書かれていない。「カルタゴとシリア」とだけ。
おっそろしいお母さんがシリア人というのは異論がないらしい。一方お父さんセプティミウス・セウェルスは、ローマで唯一、属州のアフリカ生まれの皇帝という。今のリビアで生まれた。それで、生まれ故郷にたくさんモニュメントを作ったそうだ。彼の血筋はというと、フランス語版でも英語版でも、父方はカルタゴ(リビア)系、母方はイタリア(ローマ)からの移民と書かれている。
ゴロワはどこに言ったの? 何かの伝説がありそうだわね。

読みすすめていくと――ああ、わかりました! カラカラは、父親がガリア総督時代に、今のリヨンで生まれました。だから「ゴロワ人」と言っているわけだ。「血統」じゃない。「出生地主義」でいえばゴロワ(フランス人)でもあるといいたいわけね。アメリカで生まれればアメリカ人、フランスで生まれればフランス人になる権利が生じるという考えで言えば、確かにカラカラはゴロワ(フランス人)ともいえるわけだ。なーるほど!!! おもしろーい。
となると、ゴロワ人は当時「ローマ帝国領」で生まれたのだから、全員ローマ人。今のフランス人は全員ローマ人の子孫、つまりイタリア人!といえないこともないかも。。。なーんて、まあま、そういう理屈はいいっこなし。歴史ファンタジーということで :-)

ところで、これらの皇帝たちの彫像は、とてもとても美しい部屋に飾られています。
やっぱり、過去の貴人たちに敬意を表しているのかな。
SALLEE.jpg

「皇帝の部屋」と言われています。いろいろ歴史があるようですが、各部屋に説明があるようで、大変なので省略。場所でいうと、アポロンギャラリーの下あたりになります。

まだまだあるのだけど、今日はこのへんでやめときます。
「ローマ時代の彫像は、たくさんの国の研究家を魅了してきた」と説明パネルにはありましたが、わかるわあ。私もギリシャ・ローマは大好き。ちょっと色気と繊細さに欠けるけど。

ここ最近つくづく思うのだけど、やっぱり一神教って肌に合わないわ・・・。私ってつくづく、多神教の日本人。もちろん、一神教の宗教も敬意は払っていますよ。文化や学問の対象つぉいて、すごく興味はあります。他の人が敬意をもつものは、大切に扱うべきだと思うし。
でもねえ・・・やっぱり合わない。
なんだか最近わかるのよ。きっと、このヨーロッパで、一神教がイヤになると、ギリシャ・ローマに走るのだろうなと。もちろん、キリスト教の信仰があつい人で、ギリシャ・ローマが大好きという人もいたと思う。文化を重んじる、芸術家にはそういう人が多いのかも。でも、それだけじゃない。思想的にもあったと思う。
歴史を学ぶと、ルネッサンス=人間性回復で、芸術や学問のことがよく語られるけど、「キリスト教(ユダヤ教)がイヤだったからです」なんて書いてある本、見たことないや。まあ現実、ルネサンス当時は共存していたのだし。
今、現代なら、そういうことを言う本って、欧州にはあるのかしら。
あまりにも漠然としすぎていて、かつテーマが大きすぎて、どこから調べていいのかも想像がつかないわ。

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